手本を見る精度と再現する精度
今になって思い返せば、やり始めの頃は全然手本を見ることが出来ていませんでした。どこに注意すれば上達するのかということが全くわかっていなかったのです。
ちょっと例えは違うかもしれませんが、初めて聞く言語が、言語とも思えないあの感覚、ただの音としか聞こえないというか。
文字もそうで、字形に興味がなかったあの頃は、たとえば「木」という漢字が、ただの木でしかない。
手本を見ても、「上手な木の文字」でしかなかったのです。
手本に見慣れて行くうちに、なんとなくその「木」を深く見られるようになってきました。
一画目と二画目はどのくらいの長さなのか。
三画目はなるほどきっちりと交わりから出ている、そしてこの角度で。
払いはこんな感じ。四画目もきっちりと交わりからだ。
払う時に止まっているような、止まってないような、うーんどちらだろう、というように。
そうすると次はそれを再現するということになりますが、それがなかなか上手くいかない。
自分の書いた字とどこが違うのか。
「あ、そうか。自分は交わりの出具合のバランスが違う。交わりから1ミリずれて書いちゃってた。」みたいに。
今度はゆっくりゆっくりそれを修正してみる。
ゆっくり書きすぎててにょろにょろしているけど、位置は合っていた。などと、再現していくことになりました。
癖のある字を変えたかったり、ペン習字を習い始めで上達を目指したかったりする人は、そこをヒントに練習されたらいいと思います。
この基本が、最初は全くわからないのです。
なぜ、違うんだろう。
1つ1つやっていくしか無くて、私は近道は無いと思いますし、近道というならそこが近道だと思います。
何度もやっていくうちに、その両方が磨かれて、再現出来るスピードが早くなります。
見て真似るだけで上達する!
そんな謳い文句の本がたくさん出ていますが、それははしょり過ぎで、嘘ではないけど、それが難しいのよって感じです。私はそうでしたし、今も難しいなと思っています。
このブログは、自分の趣味の記録であり、誰に教えるとかの目的のものではありませんが、ある程度中級だか上級かの差し掛かりに来てみて、思ったことをほんのちょっとアドバイス的に書いてみました。