硬筆書写検定1級合格まで 〜理論合格までの学習〜

硬筆書写検定1級を受験するにあたって、どのような勉強をしたのかなどを自分なりにまとめてみます。今回は理論編です。




最初に断っておきますが、これは私自身の主観であり、この勉強をしたから受かるとか落ちるとかの保証は出来ません。
また、検定の審査基準などは全くわかりませんので、この方法が正しいのかもわかりませんし、もしかしたら間違った情報も入っているかもしれないことをご了承ください。(指摘されれば訂正・削除いたします。)
講習会の参加についても、私が耳で聞き取り、自分なりに解釈したものですので、正しいとは限りません。
講習会の先生のアドバイスではなく私の感想としてお読みください。ただ頑張る気持ちだけお伝え出来ればと思い打ち込みます。
1受験者の1受験記としてお読みいただければ幸いです。





硬筆書写検定1級の理論問題は、準1級の理論問題とほとんど共通しています。
準1級では草書を読む問題が古い作品からまとまった4字なのに対し、1級では一文字ずつ出題されます。
添削問題と歴史的かなづかいの問題も追加されています。
準1級で出題された○×問題は1級では出題されません。





硬筆書写検定合格のポイントによりますと、
●第7問 旧字体を書く・書写体を書く
●第8問 草書を読む(1字ずつ)・古筆を読む
●第9問 添削 書道史
●第10問 漢字の字体(まちがい捜し)・歴史的仮名遣い(まちがい捜し)

が出題範囲となっています。


理論問題は400点満点中313点で合格。
0.7825 ・・・・約78%で合格です。



大きく区切って4問なのですが、理論問題に初めてとりかかる人にとっては大変出題範囲が広く、それなりに学習しないとならないものもありました。
理論は結局覚えるしかないのですが、私がどのような方法で勉強したのか、各問題順に紹介しようと思います。






まず理論問題を受験するために使った本です。もちろん一度に買ったのではなく、学習する度必要に応じて増やしていきました。
「理論問題のすべて」が、理論対策のメイン教科書になりました。



左上から右に
古筆切で読むくずし字練習帳  新典社
硬筆書写検定合格のポイント  日本習字普及協会
新・要説 万葉・古今・新古今 日栄
硬筆書写検定の手引きと問題集 日本書写技能検定協会



左下から右に
硬筆毛筆書写検定理論問題のすべて  日本習字普及協会
字と書の歴史            日本習字普及協会
日本の書              東京美術 
中国の書              東京美術








第7問 旧字体を書く 書写体を書く


何年も前に受けた2級では旧字体・書写体を読む問題がありましたが、読むと書くでは大違いで難しく感じました。旧字と書写では書き方が似ているものも多いので、区別して覚えるのは大変そうに思いましたが覚えていくうちに、法則(と言ったら大げさかな)があることに気付いたので、いったん覚えてしまえばそんなに苦労することはないと思います。
書く問題ですので、練習もひたすら書く。
全てを覚えることは出来ませんので、「理論問題のすべて」に載っているものと、「合格のポイント」の過去問題から覚えました。
合格のポイントに載っている過去問はたった2年分。他のものも気になったので、中古の本を購入してしまいました。過去問以外の部分は全て同じなので無駄といえば無駄ですが、傾向がつかめて私には役に立ちました。当ブログとツイッターで、同じ級に挑戦する受験者の方と、過去問題の情報交換をし合う機会にも恵まれました。
更に、合格して登録すると2年間購読出来る「書検ニュース」には最新の過去問題が載っていますが、合格しなくても購読料を納めれば読むことが出来ます。こちらも利用しました。


自作の問題を作って、家でコピーして書きこみます。「理論問題のすべて」内をコピーして切り貼りするだけで原稿は完成。

単語帳も作りました。





第8問草書を読む 古筆を読む
草書を読む問題は過去問題を解く程度で、特別な勉強はしませんでした。なぜなら、実技問題で草書を書く問題があるので、書くことが出来れば読むことは出来るだろうと思ったからです。草書の勉強は実技の勉強でまかなうことにしました。
古筆を読む問題は、変体がなを全く知らなかったので、ひたすら覚えるところから始まりました。


単語帳を作りました。「合格のポイント」の変体がなをコピーして切り貼りしたものです。通勤時間等ある人ならともかく家にいる主婦にとっては単語帳はあまり役に立ちませんでした。半日がかりで作ったのに。


過去問題を答えを照らし合わせながら読んでいくと、良く出てくる変体がながなんとなくわかってくるので、その方法は有効でした。
また、「古筆切で読むくずし字練習帳」は、難易度が易しいものから難しいものまで順々に覚えていくようになっていますし、3週間でらくらく読めるようになる!ということなので、おススメです。実際私も利用しました。

草書も変態がなも、始めのうちはアラビア文字にしか見えないんですが、学習していくうちに慣れてくるから不思議です。





第9問 添削 書道史
添削問題は過去問を解いたぐらいですが、正しい字形が頭に入っていれば難しくないと思いました。
明らかに間違った字形で出題されて来ますので、1級を受験される方であればそんなに苦労しないと思います。

書道史は歴史の苦手な私にとって、苦労することが予想されたので、丸暗記をするのではなく流れをつかもうというところから始めました。
「字と書の歴史」にラインを引きながらじっくり読んで行きました。一通り読めば流れがつかめましたので、あとは暗記していきます。
ひたすら書いて覚えました。覚える量はたいしたことはありません。

そしてテスト問題を作り、回答。単語帳にしてもテストにしても書いてある字は読めればいいだけのヘタ字です。そこに時間を取られてはいけませんと自分流。


会場まで持って行って最後まで目を通していたのはこちらのメモ。
左側が折れていますが、そこには作者名が書いてあります。


「日本の書」「中国の書」は全ページカラーで、作者作品紹介がされていますので、それらのイメージをつかむのに大変役立ちました。





第10問 漢字の字体・歴史的仮名遣
漢字の字体(間違い捜し)は他の級にも出ている問題で、難しいものは出ません。間違いの箇所が10箇所。
常用漢字を知っている人であればわかる範囲です。…なのに当日になるとなぜか1つ見つからなくて焦りました。


歴史的仮名遣いは  ほ→お ほ→を の違い、へ→え へ→ゑ の違いなど同じ文字から何種類かの文字になることに苦労しました。
これは古文をしっかりやった人には感覚でわかる問題なのでしょうが、私にはわかりませんでしたので、まずは歴史的仮名遣いの文法について書いてあるページをインターネットで検索して学習しました。
何となくわかったところで、単語帳を作成。「理論問題のすべて」から抜粋しました。
「理論問題のすべて」に、高校の教科書あたりをひっぱり出して学習すれば…みたいなことが書いてあったので、それらしき本を購入。それが「万葉・古今・新古今」です。こちらの原文にさらさらっと目を通し感覚をつかんで行きました。
何となく読めるようになったところで受験したという具合です。


理論は1回目の受験で合格することが出来、その後2回は理論免除でした。実技も練習しつつ理論を優先に取っておく方法もいいかと思います。
私は1回目でたまたま理論だけ合格出来ましたが、理論だけ合格しているという安心感は次回以降の受験の安心感にもつながりました。
(逆に2回目の免除では、次は受け直しだ〜という気持ちになりますが。)



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