硬筆書写検定1級合格まで 〜実技合格までの学習〜

硬筆書写検定1級を受験するにあたって、どのような勉強をしたのかなどを自分なりにまとめてみます。今回は実技編です。
(3回目は簿記も同時受験したので簿記についても記述をしています。)





最初に断っておきますが、これは私自身の主観であり、この勉強をしたから受かるとか落ちるとかの保証は出来ません。

また、検定の審査基準などは全くわかりませんので、この方法が正しいのかもわかりませんし、もしかしたら間違った情報も入っているかもしれないことをご了承ください。(指摘されれば訂正・削除いたします。)

講習会の参加についても、私が耳で聞き取り、自分なりに解釈したものですので、正しいとは限りません。

講習会の先生のアドバイスではなく私の感想としてお読みください。ただ頑張る気持ちだけお伝え出来ればと思い打ち込みます。

1受験者の1受験記としてお読みいただければ幸いです。




2010年6月に準1級を受けて合格。11月に1級を初めて受けて実技は不合格。(理論合格のみ)2011年1月に2回目の挑戦で不合格。同年6月に3回目の挑戦をして合格することが出来ました。






参考書


検定用の書籍は、

1・2級 硬筆書写検定合格のポイント 日本習字普及協会
硬筆書写検定 手びきと問題集     (財)日本書写技能検定協会
の2冊。


「硬筆書写検定 手びきと問題集」は、3回目の受験前に参考に買いましたので、実際によくつかったのは「硬筆書写検定合格のポイント」の1冊です。





講習会への参加
独学者にとって欲しいのは情報です。英検や漢検などと違って、出版されている書籍の数も少ないので、講習会の参加は非常に役に立ちました。春・秋の2回、東京・名古屋・大阪で開催されています。日程等は財団法人 日本書写技能検定協会のホームページや、書検ニュースなどで確認出来ます。



私は準1級の受験前に名古屋の講習会に1級クラスで参加、1級の受験前に東京の講習会に同じく1級クラスで参加しました。
名古屋講習会では、なぜ準1級の受験前なのに1級クラスを受けたのかというと、当日受講料を支払った後に準1級クラスもあることに気付いたからです。(広告には準1級クラスのことは載っていなかった。2級クラスの次は1級クラスだと思っていたので。)場違い感はありましたが、後々にはそれで良かったと思いました。
予約は不要、当日会場で受講料を払い申し込みをします。
東京講習会では中央審査会と関東圏審査会の先生方、名古屋では地方審査会の先生方がご指導してくださいました。
お昼を挟んで1日中行われるこの講習会は、大きく3コマ(だったかな確か)に分かれていて、3人の先生による指導でした。



1級は指導者クラスだから、文字そのものも大切だが、バランス、余白、調和が非常に大事。どの先生も口を揃えておっしゃっていたのが印象的です。
書き始めと書き終わりの位置をきっちり揃えること、草書をしっかり書けるようにすること を強調していました。



この講習会は1級に限らず、各級の受験者対象に開かれており、毛筆もありますので受験される方は受けてみると勉強になると思います。



合格まで…と言ってもとにかく「合格のポイント」を使って、例題や過去問の文章を書いただけで、あとはいつも通り、パイロットペン習字講座の練習とペン時代の課題を書いた位です。毎日やるのを目標にしていましたが、3回目の受験では同時進行していた日商簿記2級の勉強が優先になってしまい、ほとんど練習が出来ない日も続きました。そんな私の勉強が参考になるのかは疑問ですが、少なからず合格すべく努力したことは事実です…ので参考になればと思います。






1級対策の練習に使用した筆記具


上から 

パイロットマーカー中(掲示文用。パイロットペン習字通信講座で掲示文の使用に推奨されているマーカーです。準1級の受験と1級の3回目の受験に使いました。)
COPIC ciao(掲示文用。名古屋講習会の時に先生が紹介していたのを見て買ったものです。筆のようなタッチのペンです。1級の1回目、2回目の受験に使いました。)
パイロット SUPER−GP 0.7 (速書き用。色々なボールペン(ドクターグリップなど)を試した結果、ごく普通のボールペンにたどり着きました。受験に使用)
パイロット SUPER−GP 1.0 (もしかしたら太い方がスムーズに書けて見栄えも良いのでは、と1.0も購入。こちらは受験には使用しませんでした。)
ぺんてる プラマンペン(プラマンペンとはプラスチック マンネンヒツを合わせたネーミングのようです。名古屋講習会で第5問作品製作用に紹介され、購入。準1級・1級1回2回に使用)







掲示文用のマーカーは、名古屋講習会で、COPICを紹介されたので、文房具店でケース買いしました。タッチは筆ペンのような感じです。上手に書けば、表彰状の文字のような筆タッチのきれいな文字が書けます。ところが、毛筆初心者の私にはこのタッチはどうも慣れることが出来ませんでした。1級受験の1回目、2回目には使用しましたが、3回目は背伸びせず、パイロットマーカーを使用しました。



ぺんてる プラマンペンは第5問の作品製作にも良いと紹介されましたので、準1級・1級の1回・2回で使用しました。第1問〜4問までが万年筆の使用でしたので、筆記具に変化もあって良いなと思っていました。ところが、東京講習会の際このペンで現代詩を書いたところ、「あなたにはもっと細いペンがいいわね。」と言われたので、3回目の受験では万年筆 パイロット カスタム743 EF に変更してみました。











上から
パイロット カスタム 743 EF極細字(1級1回〜3回 第1問〜第4問全てに使用)
パイロット カスタム 742 POポスティング(準1級 第1問〜第4問全てに使用)




準1級の合格時に、自分へのお祝いで カスタム 743 EFを購入したため、1級の受験では743を使用しました。今まで、ポスティングニブでペン習字の練習をしていましたが、EFの購入以降はペン習字用の万年筆はEF,手紙などその他の用途にPO(ポスティング)を使って来ました。
どちらも、ペン習字には使いやすいですが、ポスティングは書き味が堅いので、ペン習字用にはEFが好きです。
この2本は、私のお気に入り万年筆です。普段はこの万年筆で練習しています。つけペンも持っているのでそのうち練習したいと思っています。



検定にこの万年筆を使用したところ、3回目の受験では、なぜか全ての文字がとても滲んでしまいました。準1・1級1回2回では滲むことはほとんど無かったので、試験中にとても焦りました。
出来あがった文字を見ると滲みだらけです。インクは同じでしたから、紙質が少し違ったのでしょうか。これはダメだと思いましたが、合格したのは3回目でしたので、滲みは採点に大きな影響は無かったのかもしれません。









36センチのものさし。



長めのものさし(静岡ではせんひきって言いますがこれは方言でしょうか。方言だということに最近気がつきました。)は、掲示文を書く前に鉛筆で補助線を引き位置を決めるのにとても便利でした。






手帳の活用

ほぼ日手帳を使っています。
簿記の勉強とペン習字の勉強をまんべんなく出来るように、簡単な計画を立てました。
書く場所は年間スケジュールの部分。簿記は週に2回DVDを見る計画を、ペン習字はその日に第何問目の練習をするのかを書きこんで行きました。その通りには出来ませんでしたが、書いておけば偏りなくまんべんなく各問題の練習が出来るので効率的でした。




例えば1月の左半分は簿記、右半分はペン習字について書いてあります。2月の右側にペン習字が書いていないのは、1月にペン習字の2回目が終わったため、簿記に集中していたからです。赤い文字で 筋・キ とあるのは筋トレです。やったのは最初の1回でした。
 





子どもの通院等で出かけることが多かったので、そのような時には簿記のテキスト、ペン習字三体(草書を覚えるため)は必ず持っていきました。病院は待ち時間が多いので、子どもが寝ていたりすればその間に勉強が出来ました。そんな時に、ほぼ日手帳の日々のスペースには、覚えたいことや覚えたことを書きこみました。
勉強に意識が行って、子どもに目が向かなくなるのは良くないし後々それが罪悪感につながりそうな気がしたので、なるべく子どもの気付いたことや子どもとやったことなども意識して手帳に書き込むように心がけました(試験が終わった今は全くやってない)。






やりたいことにチェック欄を付けて、手帳に書きました。また、その日に計画していても出来なかったことは無理をせず、手帳にと記入し、次の日以降に持ち越すことにしていました。




手帳にたくさん書きこんだのは主に外出先で、家では文字を書くことを中心に(簿記ではDVDや問題を解く)やりました。
手帳に書き込む字は大抵ヘタ字です。私はこの字をきれいな字にすることを目標にしています…。
練習時間の確保は、子どもが学校に行っている時間で下の子がお昼寝をした時と、夜寝かしつけをした後です。いつも料理をしているお昼寝の時間も結構勉強に充てていたので、楽に作れるメニューが続いてしまいました。家族には協力してもらいありがたかったと思っています。




練習用紙は


「合格のポイント」の中にある回答欄を自宅でコピーしました。
紙はホームセンターに売っているとても安いものです。
3回目受験前は、簿記の問題集を二回通り解くために毎回コピーしていたので、その裏が白い場合にはペン習字用の回答用紙に使いました。



こちらを何枚もコピーして使いました。






問題順に


問題毎に私が気をつけたところは


●第1問(速書き)
キッチンタイマーを使い、4分間を実際に計り出来る日はなるべく毎日練習する
・誤字・脱字は大きな減点になるので、極力無いように集中する
・一つ一つ見ながら書くのではなく、いくつかの文節を記憶して書くようにする
・3分位で終わって雑な仕上がり→3分半で終わり丁寧な仕上がり になるように練習する
・濁点をしっかり書く
・自信のない行書を無理して使わない



●第2問(楷・行・草)
・練習の段階で、割り振り(何センチ位)で区切るのか決めておく
・中心線が揃うように気をつける
・文字が小さくなりがちなので、大きめに書くように心がける

練習の度に割り振りを鉛筆で書くのは、面倒なので鉛筆で補助線を引いたものをコピーして使いました。
検定当日は補助線を引くということはせず、鉛筆でその位置に小さな点を打ちました。



過去数年間の問題の出題草書をチェックし(合格のポイント22年度版と古本を購入。23年度版は立ち読みして覚えた)ペン習字3体に蛍光ペンでチェックしました。また、草書は自分の習っている系統の字にこだわらず、なるべく合格のポイントに載っている草書を覚えるようにしていきました。自分の系統との相違点があれば直接三体にわかるように書き込みました。



●第3問(縦書き)
・連綿を使う場所を考えてから書く
・文字の間隔が同じ(単調)にならないように、流れを意識する
・同じ文字の繰り返しは、変化をつけるようにする
・無理な(不自然な)連綿を書かない
・文頭 文末を出来るだけ揃える(揃わなかったら潔く諦める)


●第4問(横書き)・漢字10:ひらがな8:カタカナ数字7 の比率を意識する
・文字間隔は均等にするように気をつける
・英数字の形を気をつける(4を閉じるか閉じないか・直立体か斜体か・自己流になっていないか)
・行の終わりに かっこ や 数字の途中 が来ないように調整して書く
・文頭 文末を出来るだけ揃える


●第5問(作品)
・作品を書いてから枠(鉛筆)を決める
漢詩とかな作品は自信が無いので現代詩と決めた
・現代詩は連綿を使わない方が良いと指導されたのでその通りにした
・ちらしてみたり、文頭を揃えたり、その時の感覚で決めた
・最終行の最後の文字は、他の行より下がらないようにした


作品製作は、漢詩・かな・現代詩とも不十分ですので、これから更に勉強して行きたいです。



●第6問(掲示文)
・あらかじめだいたいの割り振りを決めて練習しておく(鉛筆で下書きの補助線を引いて良い)
・あらかじめ出題されそうな文字の字形は事前に確認(日時・教室・講師・受講料・主催・など)
・文字の白い部分がつぶれないように注意した
・余白を大切にするように注意した






1級3回目の検定申し込み時に…

1級3回目の検定が不合格になれば、理論免除は無くなり、次回からの検定はもう一度理論も受けなければなりません。ですから、出来たら合格したいなという願いを込めて、検定申し込み時に自分で記入する合否通知書の切手にはお気に入りを使用しました。

子どもを出産した時にベネッセのサービスで作ってもらった 子どもの名前&誕生日&出産病院が載っている50円切手です。
お気に入り、というよりも使い道が無かったというのが本当のところなんですが…。自分に返ってくれば記念になる嬉しい切手。それが合格通知だったら更に嬉しいな。という願いを込めて貼りました。
現実になって嬉しい限りです。
でもこのハガキ、合格の登録の際に送ってしまうんです。ずっと保存できる受験票の方に貼れば良かったかなぁ。




合格出来た3回目の検定2日前、突然具合が悪くなり前日は39度の熱、当日は38度の熱でした。
原因はウイルス性腸炎(嘔吐下痢症…)。直前まで布団の中でやめてしまおうか悩みましたが、家族のせっかく5000円払ったんだから行くよね!という言葉に後押しされ、電車で行くつもりを実家の父に車で会場まで送ってもらい…受験しました。
えいやって感じで書いて来て、帰りに当番医を受診して楽しみにしていたランチ代わりに点滴を受け帰宅。
当日は大変だったけど、受けたから受かったのであって、本当に行って良かったと思っています。
力が抜けたのが逆に良かったのかも??



私の勉強方法を書いただけなのですが、これから受験する方の何かの参考になればと思います。

以上です。
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