電話

午前中に鳴った電話はカルチャースクール時代にお世話になった先生からだった。
「ぴのさん、1級合格おめでとうございます」




先生との出会いはカルチャースクールのペン習字講座だったが、数か月で止めてしまい連絡先も聞かずじまいだった。
「ペン時代」を購読するきっかけになった、自分にとっては人生の大切な出会いと言っても言い過ぎではないようなことだったのに、それに気付いたのはペン習字を再開した数年前で、時すでに遅し…だった。その時は後々こんなにペン習字に夢中になるとは思っていなかったから。





もう連絡を取りたいと思っても難しいのだなと諦めていたが、4月にふらっと行った鎌倉の高田先生の記念書作展で、その先生の作品も展示されていることがわかり感激、驚きだった。高田先生にお会い出来たのに感激しているところにダブルの喜びだった。当然先生はこの書会に所属しているよね、納得。
受付の人に尋ねてみると、先生は午後からおみえになるとのこと。あいにく私は午後から友達との約束が入っていたので会場で待つことは出来なかった。
メモ用にと2枚だけ持って行ったA4のコピー用紙に、会場の椅子に座って簡単なお手紙を書くことにした。
メモ用紙に殴り書き、更に突然で失礼かなとは思ったけれど、このチャンスを逃せば先生にまだペン習字続けているということも、お礼もお伝え出来ないし後悔するだろうと思い、受付の人の事情を話し渡してもらうことにした。快く引き受けてくれて良かった。





数日後、先生からお手紙が届いた。憧れの綺麗な文字で書かれていた。
ペン時代の私の名前を確認してくださったとのこと。そして、通信で添削指導をしてくださると書かれてあった。
すぐにお返事した。とても嬉しいやりとりだった。





そのうち日々の生活や簿記、検定に追われて先生に添削をお願いすることも無く数カ月が経ってしまった。
そろそろ…そろそろ…なんて思ってあっという間の数カ月。
先日、ペン時代に1年半ほど前に送った昇段試験の時の課題(ペン習字についての作文)を載せていただいた。
ペン習字を始めたきっかけや練習の様子などを皆さん書いているので、私もそのように書いたものだ。
2年前の字を見ると、少しは上達しているみたい。

拙い文章で笑ってしまうが、作文を読み返して、カルチャースクールの思い出がまた蘇って来て。
先生に1級合格の報告を兼ねて添削をお願いしてみようとまた手紙を先日出したのだった。
そして今日、差出人欄に打った、少し前に作った「住所のゴム印」の番号を見てお電話くださったそうだ。
先生のお声が聞けて、とてもお元気そうで。
ゴム印押して良かった!その前にゴム印に電話番号をつけて良かった!




わざわざお電話してくださったなんて。とても感激した。
数か月前までは先生とこんな形で連絡が再開するなんて思ってもみなかったのに!
とても嬉しい電話だった。


にほんブログ村 美術ブログ ペン習字へ
にほんブログ村